過払い金請求の基礎知識|メリット・デメリット・対象になる人

テレビCMでも頻繁に見かけるようになった過払い金請求ですが、わかりやすく一言で表すと、借金した際の払い過ぎた利息が戻ってくる仕組みです。

 

不当な金利を払い続けていた人は、その金利分が戻ってくることにより、借金を完済できる可能性が出てくるんですね。

また、すでに完済している人は、過払い金請求を行うことで、払い過ぎた分の利息が戻ってくると今の生活が豊かになります。

 

しかし、過払金請求はどんな人でも可能なわけではありません。

このページでは、過払い金請求についてのメリットデメリットどんな人が対象なのかについてわかりやすくご紹介します。

過払い金とは?

過払い金とは、グレーゾーン金利により払いすぎた利息分を指します。貸金業者が返還請求を受ければ、払い戻しをしなければいけません。2010年6月の賃金業法が改正される以前、出資法の上限金利は29.2%、利息制限法は20%と上限金利に差が生じていました。29.2%を超える金利を設定すれば刑事罰が科せられます。

 

逆を言えば、利用制限法に定められた20%を超えても、出資法の29.2%を超えなければ罰を受けることはありません。そのため、多くに貸金業者は29.2%を利用し、貸付を行っていました。この改正前の利用制限法と出資法の金利差がグレーゾーン金利です。グレーゾーン金利分により払い過ぎたお金が、過払い金として請求できます。利用制限法の金利で契約した人に過払い金は発生しません。

過払い金のメリット

過払い金のメリットは言わずと知れた払いすぎた利息分が返還されることです。すでに完済を終えた人は、払い過ぎたお金を返還してもらえます。現在も返済している人ならば過払い金請求により、返済が減るか、返済がなくなるかもしれません。

過払い金のデメリット

デメリットの方が項目は多くなりますが、当てはまる人は限られてきます。もし該当しなければ、メリットしかありません。

過払い金性請求をした業者からは新規の借り入れはできない

過払い金請求をした業者と新たな契約はできません。貸金業者は、過払い金請求を受けたことを社内記録として残します。相手の立場で考えれば当然かもしれません。ただ、別の業者ならば影響がでないことから、深く悩む問題でもありません。

ブラックリストに載るケースもある

借金を返済中の人は、過払い金請求によりブラックリストに載るケースがあります。過払い金請求をしても、借金が残る場合です。これは任意整理をしたと扱われ、それにより信用情報機関に登録されることもあります。

 

ブラックリストに載っている期間は、新たなローンや借り入れが困難になるのが現状です。クレジットカードの作成も難しくなるので、返済中の人は注意をしましょう。

クレジットカードは注意

クレジットカードで借りたお金も、過払い金が発生していれば請求ができます。ただし、過払い金請求をすると、そのクレジットカードが利用できなくなる可能性があるので注意をしましょう。

 

マイルなど、たまったポイントも消滅するかもしれません。また先ほどと同様、返済中ならばブラックリストに載る可能性もあります。ライフラインの支払いをクレジットカードにしている人は、変更をしてから過払い金請求をしてください。

貸金業者が倒産すると請求はできない

過払い金請求は、貸金業者が倒産していると請求ができません。多くの過払い金請求により、倒産をする貸金業者もありました。過払い金が発生していると気が付いても、相手業者が倒産していれば請求先がありません。早めに行動を起こすようにしましょう。

過払い請求が可能になるのは2つの条件を満たした人のみ

過払い請求を行うにあたって、重要となるのが2つの条件です。

ではどのような条件なのか、さっそく見ていきましょう。

平成22年6月17日前に借り入れをしている

2020年の今現在は平成23年になるので、今から10年前の平成22年6月17日前に、金融機関から借金をしていたことが条件になります。なぜ、このような条件が設けられているのかというと、出資法の上限利息がこの時期を境目に改正されたからなんですね。

平成22年6月17日までは、グレーゾーン金利が存在し、利息上限法を上回る金利が発生していました。

 

しかし、平成22年6月18日以降に改正賃金業法の完全施行が行われ、出資法の上限利息は20%に定められたんですね。

これによりグレーゾーン金利は廃止される形となったので、過払金の請求ができるのは、グレーゾーン金利を払い続けていた人のみになります。

時効成立前の完済してから10年以内である

過払金には、10年と定められた時効があります。

最後に返済した日から10年以上が経過してしまうと時効が成立してしまい、過払金を請求する権利がなくなってしまうんですね。

 

したがって、時効が成立する前の10年以内であれば、上記でご紹介した(平成22年6月17日以前の借金)条件を満たすことにより、過払金請求が可能です。

なお、10年近く前の記憶はあやふやになっていることも多いため、自分がいつ借金を完済したのかわからなくなってしまった場合には、金融機関に取引履歴の開示を求めましょう。

賃金業法で、金融機関は取引履歴の開示を求められたら応えなくてはいけない決まりがあるので、しっかりと対応してもらえるはずです。

条件を満たしていても過払金請求ができないケースもある

上記2つの条件を満たしていれば、基本的には過払金の請求が可能です。

しかし、次のようなケースでは過払金の対象外になってしまいます。

 

・クレジットカードのショッピング枠利用

・銀行のカードローン

・借金していた金融機関の倒産

 

まず、クレジットカードのショッピング枠ですが、こちらは過払金の対象外です。

クレジットカードも過払金の対象として認められますが、こちらは「ショッピング枠」ではなく「キャッシング枠」のみが対象になっているんですね。

 

続いて銀行のカードローンですが、こちらはグレーゾーン金利での融資を行っていません。

正当な金利での貸付を行っているため、過払金が発生していない形となるんです。

 

最後に借金していた金融機関の倒産ですが、こちらは請求対象者がいなくなってしまうので、過払金の請求をしたくてもできなくなってしまうんですね。

ただし、このような場合でも過払金請求が可能になるケースも存在します。

諦めてしまう前に、債務整理に詳しい専門家へ相談しましょう。

まとめ

今回は、債務整理の過払金請求のメリットやデメリット、過払い金請求ができる対象者についてご紹介しました。

過払い金は借金を完済していれば、まとまったお金が返還されるのでメリットしかありません。

しかし、借金がある状態で手続きをして、債務が残った場合はブラックリストに載りクレジットカードなど一定期間使えなくなります。

過払金請求ができる人は、平成22年6月17日前に借り入れをしていた or 借金を完済してから10年以内であることが条件です。

 

もし自分がこの条件に当てはまっているか分からないのであれば法律のプロである弁護士に相談してみましょう。

債務整理に強い弁護士に相談をしたいのであれば、赤羽にある弁護士法人アクロピースへ問い合わせすることをお勧めします。